1990年代後半、長時間労働に起因してうつ病を発症し、自殺に至った事案に関して、2000年に企業側に1億6800万円の賠償金を支払うことで結審しました。(いわゆる電通事件)
このあたりから、法令遵守の観点から労働者の健康管理上の問題が企業における重要課題でるとして取り組まれることとなりました。
そうして、法令遵守がさらに発展し、企業の社会的責任(CSR)の観点も加わり、労働者の健康管理に取り組む動きが広がってきました。
CSRとは、経済・社会を構成する企業が、その中で重要な役割を果たさなければならないという企業活動の展開にあたり、社会的公正や環境などに配慮しつつ、企業の利害関係者・・・消費者、取引先、地域社会に対しても責任ある行動をとらなければならないという意識からの活動をいいます。
その中で、企業に属する労働者の健康管理上の問題も、(労働者が)利害関係者であるという位置づけから、取り組むべき問題をとらえようとする動きになりました。
そして、そのCSRよりもさらに積極的に労働者の健康管理上の問題に取り組もうとする動き、これが健康経営です。
労働者の健康を、企業が成長するための投資ととらえ、経営上の大きな課題として位置付ける考えです。
法令遵守は、いわゆるリスクを回避するための取り組み・・ともいえます。健康経営も、形として、結果として、被災労働者の損害賠償責任の回避、労働者のモチベーションの向上、対外的な信用低下のリスク回避を目指すという風にうつりますが、もっとポジティブにとらえ、健康な労働者がしっかりと自身の力を存分に発揮できる環境を整えることで、会社内の雰囲気も魅力あるものとし、結果として企業価値向上、さらに持続的成長へと、CSRよりもより積極的に取り組むことです。
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